株はいくらから買える?
公的データで見る「みんなの始め方」と1株投資の現実
「株を始めるには何十万円も必要」というイメージは、半分正しくて半分古い情報です。この記事は、証券会社の宣伝文句ではなく、東証・金融庁・日本証券業協会の公表データだけを根拠に「いくらから買えるのか」「実際みんないくらから始めているのか」を整理します。
結論:1株なら約1,600円、100株なら約16万円が「真ん中」
日本の株は原則100株単位(1単元)で取引します。日本取引所グループ(JPX)の公表資料によると、東証上場の全内国株式で「100株買うのに必要な金額」の中央値は157,650円、平均は245,029円です(2026年2月末時点)。
これを1株に割り戻すと、中央値は約1,577円。つまり東証上場企業の半分は、1株なら1,600円前後以下で買えます(この割り算は当サイトの計算で、JPXの公表値ではありません)。
| 市場 | 100株の中央値 | 1株換算(当サイト計算) |
|---|---|---|
| 東証全体 | 157,650円 | 約1,577円 |
| プライム | 246,750円 | 約2,468円 |
| スタンダード | 118,500円 | 約1,185円 |
| グロース | 88,050円 | 約881円 |
出典:日本取引所グループ「投資単位の引下げに向けた取組の状況」(2026年3月公表)。株価は日々変動するため、実際の金額は証券アプリで確認してください。
実際みんないくらから始めている?
日本証券業協会が2026年1月に行った調査(回答7,926人)に、2025年にNISA口座を開設した人=デビュー1年目の人の年間購入額が出ています。
- つみたて投資枠:平均は年24.0万円(月2万円ペース)。ただし「年5万円未満」が39.7%
- 成長投資枠(株もここで買えます):平均は年67.5万円。ただし「年10万円未満」が39.8%
つまりデビュー組の約4割は、年5万〜10万円未満という小さな金額から始めています。「最初から何十万も入れないと恥ずかしい」ということは、データ上まったくありません。
同じ調査で「投資を始めたきっかけ」を聞くと、「少額(例えば100円や1,000円)からでも投資を始められることを知って」が23.3%。金額のハードルが下がったこと自体が、始める理由になっています。
出典:日本証券業協会「新NISA開始後の利用動向に関する調査」(2026年2月公表)。デビュー層の集計は回答数294〜363人と小さめである点はご留意ください。
口座を作った人の36.6%は、1円も買っていない
金融庁の全数調査(2025年12月末時点)によると、NISA口座は全国に2,820万口座。そのうち2025年中の買付額が0円だった口座が36.6%、約1,045万口座あります。
3人に1人以上が、口座を作ったところで止まっている。原因が資金だけとは限りません。当サイトに来る人の多くがそうであるように、「アプリを開いたが、注文画面で何を押せばいいか分からなかった」で止まっている人が相当数いるはずです。金額の問題は1株投資で解決できます。操作の問題は、練習で解決できます。
出典:金融庁「NISA口座の利用状況に関する調査」(2026年7月3日公表)。割合は公表実数からの当サイト計算です。
1株から買う方法(単元未満株)5社比較
100株未満で買う仕組みを「単元未満株」といいます。各社で名前も条件も違います。
| 買付手数料 | 売却手数料 | 約定回数 | 備考 | |
|---|---|---|---|---|
| SBI証券 S株 | 0円 | 0円 | 1日3回 | 成行のみ |
| 楽天証券 かぶミニ® | 0円 | 0円 | 寄付+リアルタイム | リアルタイム取引はスプレッド0.22%。指値も可 |
| マネックス証券 ワン株 | 0円 | 0.55%(最低52円) ※NISA口座は0円 | 1日1回 | 課税口座の売却に手数料がかかる点に注意 |
| 三菱UFJ eスマート証券 プチ株® | 0円 | 0円 | 1日2回 | 成行のみ。スプレッドなしと明記 |
| 松井証券 | 不可 | 0.55% ※NISA口座は0円 | 1日2回 | ネットでは売却のみ。1株から買ってデビューする用途には使えません |
2026年8月14日に各社公式サイトで確認。手数料はこの1年でも複数社が変更しており(マネックス2026年3月、三菱UFJ eスマート2026年5月)、最新条件は必ず公式でご確認ください。
さらに下がある:100円から買える
2025年7月に楽天証券が「かぶピタッ®」という金額指定取引を始めました。100円以上1円単位で日本株が買えます(売買手数料0円・スプレッド0.22%・約定は原則1日1回・スマホウェブのみ)。SBI証券にも1,000円以上500円単位で設定できる国内株式の積立(日株積立)があります。
「値動きに慣れるためだけに、まず数百円だけ持ってみる」という始め方が、制度として可能になっています。
出典:楽天証券「かぶピタッ」公式ページ(2025年7月16日開始)、SBI証券プレスリリース(2024年8月30日)。
少額投資の注意点(いいことばかりではない)
1株投資には、証券会社があまり大きく書かない制約があります。
- 株主優待は基本的にもらえません。ほとんどの企業が優待の条件を「100株以上」にしています。優待目当てなら、1株ずつ買い集めて100株に届くまで何ももらえません。詳しくは銘柄の探し方のページで解説しています。
- 議決権もありません。株主総会での投票は1単元(100株)からです。
- NISAの年間枠は、売っても年内は復活しません。成長投資枠(年240万円)は買付額ベースで消費され、売却分が戻るのは翌年です。また、NISA口座の損失は他の口座と損益通算できず、繰越控除(3年)もできません。少額であっても、このルールは同じです。
- 「利益が非課税」の絶対額は、投資額が小さければ小さくなります。非課税になるのは元本ではなく運用益(税率20.315%相当)なので、これは算数の話です。少額で始める目的は節税ではなく、操作と値動きに慣れることと割り切るのが現実的です。
NISAのルールの出典:金融庁「新しいNISAの概要」、日本証券業協会「2024年以降のNISAに関するQ&A」(2025年9月版)。
その前に:生活費の何カ月分を残すか
金融庁の『基礎から学べる金融ガイド』は「投資する資金は、生活資金とは別の余裕資金で」とし、緊急資金の目安を生活費の3カ月〜1年分としています。民間の証券会社・銀行は3〜6カ月分とする例が多く、フリーランスや子育て世帯は長めに、という整理が一般的です。
幅があるのは、正解が人によって違うからです。確実に言えるのは順序だけで、①生活費と緊急資金を貯金で確保 → ②残った「当面使わないお金」で投資。1株投資なら、②が数千円でも始められる、というのがこの記事の結論です。
出典:金融庁『基礎から学べる金融ガイド』(2023年12月発行)、日本証券業協会『資産運用と証券投資スタートブック』2024年度版。
口座を作った人の36.6%が止まっているのは、多くの場合、金額ではなく画面の前です。当サイトでは、実際の証券アプリの画面構成を再現した練習モードで、注文の操作を本番前に体験できます。もちろん無料で、本物のお金は動きません。
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